8/22 new!! ゆるゆると誰にいうわけでもなく誰が知るわけでもなく更新していきたい。

2016/12/26

100のお題 21.雲一つ無い青空(戯曲)

21.雲一つ無い青空

少年
少女



☆少年と少女は原色の衣装、男と女はモノクロの衣装。途中、二度入れ替わる
☆初めのシーンでは、モノクロの男の服のどこかに花がついている

暗転のなか、女の声がする

女  花を育てなさい。そして、ただただ生きなさい。この場所でただ育って、枯れて、また生まれて。ここは、そういう場所だから

ゆっくりと明転
男、立っていて、指示棒で何かをさしている
少年、女のひざで寝ている
少女、三角すわりで真面目に授業をきいている

男 はい、ここまでがドームの歴史だ。質問あるか?
少女  はい
男  なんだ?
少女  これからドームはどうなるの?
男  ……それは、まぁ、なんだ。お前たちがどう生きるかって話か?
少女  ……うぅん
男  知っての通りだが、明かりはあるし綺麗な水もでる。自給自足で間に合ってるんだから問題はない。あんまり深く考えるな。こいつみたいに

男、少年を引っ張り起こす

男  はい、おはよう。もう一度授業をやりなおそうか?
少年  大丈夫
男  だよな、飯にしよう

女、一度はけてバスケットと布をもってくる。四人でピクニックのように食事の準備をする

女  はい、じゃあ手を合わせて
全員  いただきます

サンドイッチのようなものを食べている
ゆっくりと暗転

抑えた声で話す
会話中、徐々に明るくなっていく
男と女、グラスで飲み物を飲んでいる

男  なぁ、もういいんじゃないか
女  ……なにが?
男  いつまで俺たちは生きているんだ
女  生きていられるだけ
男  いつまで生きていられるんだ
女  その時は、その時よ
男  いつまでその時を待つんだ
女  生きてるだけじゃだめなの?
男  違う
女  なにが
男  俺たちは生きてるんじゃない、死んでないだけだ
女  ……

少女、静かに入ってくる
女が先に少女に気づき、男が後から気づく

女  あら、目が覚めちゃったの?
少女  ……お酒?
女  そうよ、大人だからね
少女  えぇ、ずるい
女  すぐ大人になるからね
少女  うぅん
男  寝れないのか?
少女  怖い夢みちゃった
男  そうか
少女  白いおひげの生えた人がね、ベットで苦しそうにしてるの
女  そうなの?
少女  なにもできなくて、それをずっと見てるの
女  ……

女、少女を抱きしめる

女  怖かったね、じゃあ寝にいこっか
少女  大丈夫、ぎゅってしてもらえたから怖くなくなった
女  そう

少女、一人で帰る

女  覚えてるのかしら
男  なぁ、なんで
女  いいの。私たちはこうしていくしかないの。私たちのずっと前から、ずっと後まで
男  ……ふざけてる
女  真剣よ

男、酒を飲む
ゆっくりと暗転

明転

女と少年、座っている

少年  なんでそんなになるのに酒なんかのむの?
女  飲み過ぎなければ、楽しいのよ?
少年  でも飲み過ぎたんでしょ?
女  そうね
少年  やっぱり大人って馬鹿だなぁ
女  そう、馬鹿よ
少年  え?
女  ちょっと長く生きただけで、子供と変わらないわ
少年  そうなの?
女  そうよ、知らないこともいっぱいあるし、知る前に死んじゃうわよ、きっと
少年  いいの?
女  え?
少年  その知らないこと、知りたくないの?
女  うーん、大人はね
少年  うん
女  知りたくなくなっちゃうんじゃないかな
少年  えー
女  もういっぱい知っちゃってるから、困らないもの
少年  でも、もっともっと知らないこともあるんでしょ?
女  そうね
少年  じゃあおかしいよ。知らないままって悔しくない?
女  悔しい?
少年  だって、知らないことがあるって知ってるのに、それを知らないまま死ぬんでしょ?
女  そうね
少年  いやだよそんなの。大人ってわかんない
女  大人になったらわかるかもね
少年  わからなくていいけど
女  美味しいお酒も飲めるわよ
少年  飲み過ぎて勉強の時間に起きられない大人がいるからやだよ
女  その通りね

二人、笑っている

暗転

明転
男と少女。男は寝ている。少女は心配そうに見ている

男  ……もう大丈夫だぞ、吐かんぞ
少女  本当?
男  多分
少女  はぁ

少女、グラスに水を入れてもってくる

男  ありがとう


少女  ねぇ
男 うん?
少女  死ぬってなんなの?
男  なんだそれ
少女  図書室で読んだ
男  あー……そうか
少女  なんなの?
男  また授業でやるよ
少女  難しいことなの?
男  難しくないよ
少女  じゃあ教えてよ
男  難しくはないんだが……

少女、男をみている

男  わかったよ。簡単に教えてやる
少女  うん
男  ずっと寝てしまうことだ
少女  ずっと?
男  もう起きない
少女  なんで?
男  そりゃわからん。でも、起きないんだ
少女  ……
男  ……嫌か?
少女  うぅん、よくわかんない
男  だろ?
少女  うん。難しい
男  ずっと起きないから、土に埋めるんだ
少女  土に?
男  そう
少女  花が咲くの?
男  いや、花が咲くから埋めるんじゃなくてな
少女  なに?
男  まぁ、埋めないといけないんだ
少女  埋めなかったらどうなるの?
男  まぁ、埋めないといけないんだ。それに、埋めたらもしかしたら花が咲くかもしれない
少女  やっぱり咲くんじゃん
男  まあな
少女  でも埋めちゃっていいの? 本当に起きないの?
男  起きないよ
少女  寝てるのに
男  寝てるんだけどな、そのときは心臓が動いてないんだ
少女  それだけ?
男  ん?
少女  心臓が動かないだけで、起きられなくなるの?
男  そうだ。それに、一度止まるともう動かない
少女  ふうん、変なの
男  そうだ、変だな
少女  それで、いつ止まるの
男  ……いつだろうなあ。まぁ、お前らより俺らの方が早く止まるのは確かだ
少女  そっか
男  嫌か?
少女  嫌

暗転

うっすらとした明かり
男が女を下手から上手へとゆっくり運ぶ。女は死んでいる。少年と少女は泣きながら男のあとについていく。

少年と少女が男を上手から下手へとゆっくり運ぶ。男は死んでいる。少年と少女は顔を伏せている。

暗転

少年を演じていた役者が男を演じ、男を演じていた役者が少年を演じる。
少女の役者も同様に入れ替わる。
男と女の衣装は原色、少年と少女の衣装はモノクロ。女の衣装には、どこかに花がついている。

明転
女が授業をしている。少年と少女は授業を聞いている。男は少年と少女の横に座っている。

女  そんな訳で、このドームは常に安定した気温と気候が保たれているの
少年  エネルギーが切れることはないの?
女  えぇと、簡単にいうと、この星の真ん中からエネルギーをとってるから、エネルギーが切れるとしたらこの星が爆発するときよ
少年  えっ、それっていつくらい?
女  大体20億年後
少年  20お、く
女  まぁだから、問題ないわ
男  だからお前たちは、何も考えずに飯食ってクソして生きてりゃいいんだ
少女  ねぇ
男  なんだ、クソか?
少女  なんの為に生きるの?
男  ……なんの為?
少女  何もしなくてもご飯が食べれて、ずっと明るくて、暑くも寒くもなくて、私たちは何をしたらいいの?
男  何もしなくてもいい
少年  何も?
男  そうだ、何も、だ
少年  ……ふうん

ゆっくり暗転
会話の途中からゆっくり明るくなっていく
男と女、酒を飲んでいる

女  もう、やめたら?
男  ……飲まないでやってられるかよ

女、少し笑う

男  なんだよ
女  うぅん、あの二人も、もしかしたらおんなじ気持ちだったのかなって
男  あぁ……、よく二日酔いしてたな
女  うん


男  なあ
女  うん?
男  本当に、外に出たら死ぬのか?
女  何回め? 死ぬかわからないから出られないんでしょ
男  もしかしたら、生きられるかもしれないんだろ
女  もしかしたら、死ぬわよ。私達だけじゃなくて、あの子たちも含めて
男  ……
女  ね、そうやって生きていくしかないの。そうやって、ずっと生きてるのよ
男  生きてるんじゃなくて、死んでないだけじゃないのか
女  そうよ、それは、いけないの?
男  最悪だね
女  最高なのかもしれないわ
男  なにがだよ
女  尽きることのない食料に、常に雲一つない青空。もしかしたら、天国なのかもしれないわね
男  そう考えられたら、幸せなのか?
女  そう考えて、あの人たちも大人になったんじゃないかなって
男  そうだな

ゆっくり暗転

明転

下手から上手へ、女が男をゆっくりと運ぶ。男は死んでいる。その後ろに少年と少女が泣きながらついていく

上手から下手へ、少年と少女が女を運ぶ。女は死んでいる。少年と少女はうつむいている

少年を演じていた役者が男を演じ、男を演じていた役者が少年を演じる。 少女の役者も同様に入れ替わる。
男と女の衣装はモノクロ、少年と少女の衣装は原色。男の衣装には、どこかに花がついている。

暗転
明転

男が授業をしている。少年と少女が授業を受けている。女はうつむいて、少年と少女の隣に座っている。

男  と、ここまでが死だ。わかったか?

少年と少女、腑に落ちない表情

男  まぁ、そうだわな。体験するまではわからんだろうな
少年  どうやって体験するの?
男  ……まぁ、いつかは体験するんだ。
女  そう、ね
少女  お腹すいたー
少年  あ、俺も!
男  よし、じゃ、飯にするか

男、はける
女、少年と少女を抱きしめる。そのとき、二人に耳打ちをする。なにか言おうとする二人にしーのポーズをする。
男、シートとバスケットをもってくる。四人で食事の準備をする。

男  よし、じゃあ手を合わせて
全員  いただきます

サンドイッチのようなものを食べている
ゆっくりと暗転

薄暗い明かり
男と女、お酒を飲んでいる

男  これ(酒)だけが楽しみだな
女  ねぇ
男  うん?
女  外に出ない?
男  ……
女  このまま、生きてるか死んでるかわからないまま続けるの?
男  俺らだけだったらいいんだよ。そうじゃないだろ
女  あの子たちも、大人になって、諦めて生きるの? それって生きてるっていうの?
男  生きてるだろ、飯食って寝て、それの何が不満だよ
女  だって、私たちは、空を見たことがないでしょ
男  毎日みてるだろ
女  いつもいつも、雲一つない青空。あんなの空じゃない
男  じゃあなんだよ、ちゃんとした空をみたいからって理由であいつらを殺すのかよ
女  気候変動で外は人間が住める環境じゃない……、そんなの本当に信じてるの?
男  信じるもなにも、そうじゃないとここで生きてる理由がないだろ
女  なんの為に生きてるの
男  あいつらの為だよ
女  そうして、ここで何世代も何世代もずっと生きてきたんでしょ
男  ……
女  もう、いいじゃない
男  でも、あいつらは、まだ子供だ
女  そう、だから、ずっと死ぬ直前になるまで教えてくれなかったんでしょうね
男  それが、あいつらにとって一番なんだ
女  そう、それが大人になる時間なのよね、きっと
男  あぁ
女  ごめんなさい
男  ん?
女  私はあの子たちを大人にする

少年と少女が、入ってくる

男  お前ら!ずっとそこにいたのか
女  これで、私たちと同じように、この子たちは大人よ
男  ……
少年  外に行くと死ぬの?
男  そう、言われた
少女 それは本当なの?
男  本当かどうかなんてわからない。でも、扉をあけて毒が入ると全員死ぬ
少年  (少女に)ねぇ。死ぬの、こわい?
少女  わかんない
男  まだ大人じゃないからだ
女  大人でもわかんないわよ。死んだことないんだから
男  死ぬかもしれないんだぞ
女  生きるかもしれない
少年  空って、青色じゃないの?
男  いや、それだけじゃなくて……、白い、雲ってものが浮いてるかもしれない
少女  さわれるの?
女  それは、わからないわ。ここにいる大人は、子供だから
少女  子供なの?
女  あなたたちが知ってることと同じことしかしらないわ
少年  本当?
男  本当だ。あの、なにも浮かんでない青い空しかみたことない
少女  そっか、一緒だね
男  そうだ、一緒だ
女  そう、一緒だから、ここにいる四人は大人で子供で一緒だから、生きるか死ぬか四人で決めなきゃいけないの
男  ……
少年  わかった

少女、ゆっくりうなづく

暗転

明転

四人、舞台前面に並んでいる。少年と少女、楽しそうにしている。女、険しい表情をしてい
る。男、悲しそうに、服についた花を舞台上に捨てる

全員、舞台上から前へ進み、舞台を降りる。観客の顔を一通りみたあと、全員ゆっくりと上を見上げる。雲が浮かんだ空があるのか、暗雲が垂れ込めているのかは、観客にはわからない。

暗転

2016/12/14

足一「終わりの踊り」

終わりの踊り

登場人物 男

―――――――

創作メモ

このかつおの遊び場で、「祭!」ということをやったこと、例えそれが誰に響いたとしても、また響いてなかったとしても、私個人としての想いを、この場所に刻み付ける。喜びも悲しみも懺悔も、とても個人的なものだということを背負いながら、それでも見せる/見せ付けるものとして、また、その見せ付けたものへの反応を背負うことを決め、行う、終わりの儀式である。

個人的な儀式ではあるが、この儀式では観客を含めることを前提条件としており、観客、技術スタッフも含め、すべてを共犯関係へと誘導する。

つまり、あなた(このパフォーマンスが行われる空間すべてを含む)の存在がこの儀式にとって必要となる。その際、パフォーマーとその他の人間・音楽・照明・外部から流れてくる環境音、すべてに上下はなく、すべてが必要となる。それは、行われる瞬間、「この瞬間」にあるものがすべてだからである。

――――――――

「「」」は録音音声を示す。

▼は言葉には発さない。

突然の暗転、客席はざわついている

明転

何もない舞台

男、客席の方から舞台へ上る。観客なのかもしれない

音声が流れる

「「ここ、はかつおの遊び場です。大阪府大阪市中央区宗右衛門町4-

宗右衛門センタービル2F、かつおの遊び場です。この場所はライブハウスです。」」

男、イスに座っている。

「「いま、この瞬間、この場所でこの明かりをつけてくれているのは、このライブハウスのマスター、芳田かつおです。拍手」」

男、拍手している。

「「このマスターが作ったこの場所で、色んなひとがこの舞台にあがりました」」

男、静かにストレッチを始める

「「色んなライブハウスにでて、それだけで生きているひとから、この場所で初めて人前に立つひとから、色々です。それだけの歴史をこの場所は刻んできました」」

男、深呼吸をする

「「そこで、始まったひとつの歴史が、またここで終わるというのは、とても

綺麗なものだと、思います」」

「「それでは

男、礼をする

男・音声 終わらさせて頂きます

音楽

男、踊る

▼ここにおいて、僕の存在は誰に知られなくてもいい。ただ、この空間の持つ歴史性にほんのひとつ、かすかなひずみを入れたいだけだ。だから、この体、指先の、小指のほんの先とか、あばらのひとつとか、内臓の端の端を使って、今ある全部を使って、この空間の歴史に少しだけ切れ目を入れる。草で指を切ったときのような、後から開いてくるひずみを、期待と希望をこめて、今もっているものを全部ぶつけて、この空間に、少しだけ。

男、床に倒れる

音楽、ゆっくりと、長いフェード

男 机、イス、照明。この全部が全部、当たり前だけど、歴史を持ってます。この下にひかれた敷物。ぼくの友人が赤いペンキをこぼしたので、ひいてあります。更に違う友人は、この場所で持ってきたイスに乗って、それが壊れたりしました。その思い出には良いとか悪いとかはなくて、でもそのことは、かつおさんは覚えているかもしれません。そして、それは覚えていなかったとしても、この空間には染みのように染み付いてると思います。

男、立ち上がる

男 いま、話したことは、あなたとあなたとあなたとあなたの記憶に、少しだけ残ります。一日、さらに一日、もう一日たったら、この記憶は消えてしますかもしれません。消えなくても、どんどん風化していきます。それは、

「「そういうものです」」

男、動き始める

▼それについて、悲しく思うのは、ぼくだけじゃないと思う。でも、そのことについて、「悲しく思う」と言葉でいうのは、なんだかとてもうそ臭い。穴のあいた風船のようにそこから真実がどんどんどんどん、すごい勢いで抜けていくような気がして、ぼくはその方が耐え切れなくて、とても悲しくなる。だから、ぼくは踊るのだろうか。言葉にできないから。

男、息を止める

出来るだけ長い間とめて、それが弾けて、言葉を発する

それは、客席にいる、あなたに話している

男、話しながら、空間に対して体を動かす。発している言葉を、ひとつひとつ貼り付けていく

男 あなたは、どうしてここにいるのですか? 誰かのためですか、なにかのためですか、自分のためですか。

あなたがいるその、イスの上の空間、そこにあなたがいるから、いまここは成立しています。あなたがそこに立っているから、この空間は成り立っています。

あなたがどんな偶然な理由でここに存在していたとしても、いまこの瞬間、20161213日のこの時間このコンマの瞬間にあなたがいてこの舞台とかつおの遊び場が完成されています。あなたがこの場所にいるのは、必然です。

あなたがそこにいることが、この場所で何かが起こる理由です。ここで、ギターを弾いたり、歌ったり、手品をしたり、声を出したり、踊ったり。たとえ、すごく楽器の上手なひとが、踊りの上手なひとが、演技の上手なひとが、ひとりでこの場所で誰も知らない時間に何かを披露しても、それは存在しません。森の中で木が倒れても、それに気付かなければ、木は倒れたことにはなりません。でも、あなたは今倒れそうな木に、気付いてしまった。

男、目を閉じ、ゆっくりと動く

男 今、この瞬間に何が聞こえますか。道頓堀川の川岸を歩く人の声ですか。ぼくの話す声のほかに、近くのひとの呼吸のおとは聞こえますか。

「「いま、ぼくは話していませんが、話しているように聞こえますか。この音声は20161212日に録られたもので、加工をしなければ、それは変わりようがありません。でも、」」

男 いま話していることは、この瞬間が過ぎれば消えてしまいます。あなたは、この木が徐々に倒れかけていることに、気がついていますか。

この場所にいるということは、あなたに何かを伝えたいからかもしれません。

「「でも、ぼくは言葉というものを信じきることができません。嘘は本当に聞こえるし、本当は嘘に聞こえるからです」」

録音された音声も、いまこの瞬間に見つけられて発せられた言葉も、台本という形で作られた言葉も、どれも信じられるし、どれも信じることができない。この場所での本当がわからないから。

言葉よりも、ぼくがあなたに真摯に向き合う手段として、体を使います。

音楽

男、動く

▼あなたに伝えたいことなんて本当はないかもしれない。伝えたいことはない、この瞬間のこの今、それでもぼくの視界のなかにはぼくのことを見る瞳があって、そのあなたにやっぱり、(口には出せなくても)伝えたいことがある。あなたにワクワクするものを見て欲しい。意味がわからなくても、言葉にできなくも、鳥肌がたったり、心臓が締め付けられたりするものを見て欲しい。そして、それはぼくというものではなくて、この、かつおの遊び場という空間に存在した、そしてこれからもこの空間に生まれ、入れ替わり、そして存在し続けるということを覚えておいてほしい。この空間に染み付いた、嬉しさ・悲しさ・辛さ、そんなものを知らなくても、想像してほしいと思う。ぼくがしたように。

男、動き続ける

男 今、この場所で動いた、それを言葉で説明しようと、言葉で話すと、それはどうしてもずれてしまう。あなたの感覚が言葉という枠で収まるはずがないからだから、この瞬間の出来事は誰にも伝えられなくて、誰にも伝える必要がない、あなたしか知らないあなただけの現実です。

男、止まる

男 色んなめぐり合わせで、この場所で何度も舞台に立たさせて頂きました。2012年から始まった祭!の、いってしまえば終わりの始まりの合図として、この舞台に立ってます。ぼくの、この先の舞台に立つ予定はありません。その意味でも、終わりの踊り、させて頂きます。あなたが今日見た現実で、いまから、そしてこれから、もっとワクワクしていってください。

音楽

音楽、大きくなって暗転

舞台上は誰もいない。客席に男が座っている。

今まで再生された音声と再生されてない音声が同時にかかる。


音声の、「拍手」の音で、男は拍手をする。
長い拍手のあと、男は立ち上がり客席からも、出て行く。  

終。

2016/11/13

みねまつり 11/12

ミネマツリ 11/12

峯ちゃんの歌はすごく、情動的。そう思ってたし、そうだった。でも、今日、また新しい楽しみ方を見つけた気がした。

峯ちゃんの歌と芽衣子さんサポートギターは、今までライブで聞いた曲の伴奏がギターになるだけで全然違う。芽衣子さんのギターの音がまたいい。し、アコギ大好き人間だからとても嬉しい。合間のトークも含め、まったりとしたみねまつりの始まり。

「マイクロコズム」、同名の曲を絵本化して朗読。朗読のときディレイがいらなかったかも。生声がよかった。
お話が、状況じゃなくてシーンで描かれてるのが特徴的。峯ちゃんの書く歌も、絵本も、「これがあーなってこーなって」、じゃなくて、「こう」って描かれるから、ドキッとする。

マナカ作演、「クラウドナイン」。荒唐無稽なお話から始まる二人の話。無口なゆう(峯ちゃん)の、メリハリの効いた必要な台詞のチョイスがいい。途中の、ゆうがピアノの音で七瀬(マナカ)にメールの返事(返信)をするところすごくいい。観てる側に想像させる。七瀬のダメな感じの演出も、個人的にいまとダブってすごく痛かった。ラストのゆうの、顔を見せない長ゼリフすごくいい。元の曲の「クラウドナイン」の、輝きすぎて見ているのが辛い感覚が、曲とストーリーとかぶってよかった。ラストの七瀬、めちゃくちゃ強いサス当てたい。

ラスト峯ちゃんライブ。
峯ちゃんの歌は絵が浮かぶとすごく胸にくる。というか、結構心にズグって刺さってくる。ラストの「アンドロイド」。これもやっぱり、ぼくには受け止められなくて、ただただそれを受け止めたあとの峯ちゃんをじっと見てた。受け止めきれなくて、「アンドロイドのきみとぼく」が生まれたんだなぁって今日もう一度思い知らされた。
峯ちゃんは海の青みたい。すごく綺麗なんだけど、どこまで深いかわからないあたり。三日月が刺さってしんでしまえって言ってたのも、本心だろうな。それを受け止める深さはなんなんだろうな。

良い夜でした。

2016/11/06

阪神大石駅からイカロスの森へ

阪神大石駅より、イカロスの森までのご案内です。

新在家と西灘のあいだ、阪神大石駅です。普通電車しか停まらないのでお気をつけを!

ひとつしかない改札を抜け、北方面へ。
ポストの方向へまっすぐ。
ファミリーマートの隣を更にまっすぐ。
横断歩道を渡りさらにまっすぐ。右手にコーナンが見えております。
高架の下のトンネルをくぐりぬけます。
左手に見える橋を渡り、またまっすぐの道へ戻ります。
再びまっすぐ進みます。
サンクスも通り過ぎ、まだまだまっすぐです。
道路を挟んで反対側に灘区民ホールが見えてます。おっきい。まだまっすぐです。

十字路でご飯屋さんの角を左に曲がり、まっすぐ進みます。
黄色いイトウさんの屋根が見えたら、、、
お隣が「イカロスの森」になります。いらっしゃいませ。

2016/08/26

100のお題 3.Rainy Day (戯曲)

73.Rainy Day


★ *の記号のセリフは1から8が同時に発する
★ 衣装は制服。小道具はなし(全てマイム)、美術は学校の机が9つ
★1〜3は女性。4〜8は男女問わず

雨の音、秒針の音
ダークブルーの明かり
深い海へ降りてゆくようなグラデーション

女  雨は降り止まない。この先ずっと、降り止まない。

暗転
チャイムの音
学校の机が3×3に綺麗に並んでいる

女だけ机に突っ伏して寝ている
他の1から8は姿勢を正して椅子に座っている

チャイムが鳴り終わる
女、突然机を叩き立ち上がる、と同時に1から8がイスからこぼれ落ちる

1から8、倒れたまま言葉を発する
発したあと、ゆっくりとリズムを無視して立ち上がっていく
立ち上がると、表情のない顔で前をみている

1  わたし
*  は、受験
2  せい
*  だから勉強
3  をしなければいけない
*  なんてことは
4  この日本の受験生全員が思ってる
*  事だから
5  取り立ててわたしだけが
*  可哀想
6  なんてことはないし、それに
*  かわいい後輩が応援してくれる
7  だからわたしはきっと
*  幸せ
8  だと思う

1から8が立ち上がる
女、その間をオクに抜け、ツラにくる

* (音量小さく)のになんだろう、この気持ち

1から3、声を発すると、普通の人間のようになる
4から8はそのまま立っている

1  先輩、お疲れ様です
2  あ、せんぱーい!来てくれたんですね
3  今日も泳ぎます? タイム計りますよ

女、後輩に囲まれる

女  ありがと。ごめんね、邪魔にならないようにちょっと泳いだらすぐ帰るから
1  邪魔とか!?
2  そんなん言う奴、あたしが締めますよ
3  先輩たちがまだ来てくれるからあたしのタイムも縮んだんですよ、先輩!
女  うん、速くなったね(頭をなでる)
3  先輩!わたし、もう……泳いできます!

3、その場で倒れる
1、2、女、3が部室を出て行くのを見送る視線

2  なんなの、あれ
1  照れ隠し。もー、先輩も罪な女だなー

1と2、笑う。そして、その場で倒れる
女、少し微笑んで、机に乗る

女、別の机に乗り移り続ける
同時に4から8、言葉を発し、発し終わると倒れていく

4  時間が流れていく
*  勉強と、息抜きに卒業した部活
5  勉強にも部活にくることにも
*  意味があるのかわからない
6  それでも止まらず進んでいく
*  追い立てるように、時間は進んでいく
7  成績は下がってタイムも落ちて
*  時間も周りもわたしを睨んで
8  悠々と笑うあいつにも腹が立っていた
*  (音量小さめに)俺、就職、するわ

女、中央の机で乗り移るのをやめ、そこに腰掛ける
女、隣に話しかけるように発語する。1から8、倒れたまま発語する
女と男が話している

女  は?
1  就職する
女  大学いかないの?
2  いかない
女  ……


女  理由、聞いても教えないんでしょ
3  いや、意味わかんないから
女  意味?
4  大学いってなんの勉強する?そもそも勉強したいこととかあるか?
女  ……別に
5  いや、なくてもいいかもしれないけど、俺はそれ、気持ち悪いから
女  そう
6  俺のしたいことはひとつだけだ
女  それは
7  秘密
女  だと思った
8  うん

女、立ち上がって再び机を乗り移っていく
1から8各自バラバラのタイミングで、ツラで客席に背を向けた三角座りで横一直線に並んでいく。1から8の並びはランダム。

女  別に、就職を選んだことに怒ってるわけじゃない。理由を言わなかったことにも怒っていない。いつものことだ。
ターンした時点で相手が先行していて、普通なら焦ってフォームがブレるところも、あいつは一人で泳いでるように、ただ泳ぐ
敵がいないように、泳ぐために泳ぐように。
一人でどこまでも、どこかにいってしまうんだろうなあって、思った。

女、中央の机に立つ
緩やかに雨が降り出し、次第に強くなる

女  秋になっても、成績は上がらなかった。タイムを計るのもやめてしまった。勉強時間をただただ増やしてるのに上がらない成績。部活にいっても気持ちよく泳げなくなったから、行かなくなった。
春の梅雨に対抗したみたいに、秋にも秋雨ってのがあるらしい。と、隣の席の子が湿気で跳ねた髪をいじりながら教えてくれた。
梅雨も、秋雨も、どんなに遅くても季節が変わったら止むはずなのに、わたしにだけ降ってる雨は止まない。

部屋から聞く雨の音に変わる
1から8、三角座りしたまま話す

女  おはよ
1  あれ、先輩どうしたんですか
女  気分転換にね
2  あ、でも今日、泳げないみたいですよ
女  え?
3  なんか、大雨のときにまで泳ぐのはどうなんだって親御さんの意見がきたとかなんとか
女  はぁ
4  今まで雷鳴り出すまで中止とかなかったですよね
5  顧問がめんどくさがってそーゆーことにしたのかな
6  ありうる。もー、ほんと腹立つ
女  あのさ
7  はい
女  もうみんな帰るの?
8  そうですねぇ、体育館も他の運動部使ってるし、今日は何もできないですし……
1  あ、でもどうする?
女  ん?
2  さっき来て、泳げないっていったんですけど、プールの方いっちゃって
女  あいつ?
3  はい
女  はぁ……
4  あたしたちも、鍵持ってるからどうしよっかなって
女  そうね。わかった。変な先輩でごめんね、私が鍵預かるから
5  いいんですか?
女  ついでに見てくるから。足滑らせて落ちてたら嫌だし
6  でも、喜んでそうですよねー、プール好きだから
女  ほんとにね。もし落ちてたらあたしがキチンと始末しとくから、あんた達は帰っときなさい
7  いいんですか、なんかすいません
女  いいのいいの、いつも何もせず使わせてもらってるんだから。カラオケでもショッピングでもいってきなさい、部活ない日なんてほとんどないんだし
8  すいません、ありがとうございます。行こっか

1から8、それぞれ女に挨拶をして、それからカラオケや服やテストの話をする。話をしながら、後列(オク側)の机をよりオクに押し、ひとつだけ前列に持ってくる、中列の机を三つ横につなげ、前列(ツラ側)の机を中列の机にコの字型につなげ、プールの形をつくる。オクに飛び込み台があり、ツラに伸びているプールの形。
それが終わると、ツラ(プールの内側)に立つ。場所はバラバラだが、全員オクを向いている。
女、挨拶に返答し、舞台下手奥に、後輩を見送る視線を送る。
雨は降り続いている。

女、1から8が止まってから少し間をあけ、傘をさす。傘をさすと雨の音が強くなる。飛び込み台に男が傘をさして座っているのをみつけ、座るところをハンカチで少しふいて、隣に座る。一連の動作はひとつの机の上で行われる。

女  なにしてんの
1  なにも
女  プールみてて楽しい?
2  泳ぐ方が楽しい
女  そうね


女  あんたさ
3  うん
女  就職してどうすんの
3  どうもしない
女  なんなの
4  なにが
女  馬鹿にしてんの? 成績が上がらなくてどんどん学校のレベルが落ちてく私を
4  馬鹿にする理由がない
女  なんなの。なんで、そんなに何もないように生きれるの
5  ……

雨は降り続いている

女  ごめん、何もない
5  前、好きだった
女  は?
5  泳いでるとき、魚みたいだった
女  あたし?
6  うん
女  それで?
6  でも、今は違う
女  ……
6  いまは泳いでない
女  泳げるわけないじゃない
7  なんで?
女  やりたいことだけ出来るわけないでしょ。生きてかなきゃいけないんだから。
7  やりたいことして、生きていけないの?
女  いけない
8  いつでも泳いだらいい
女  なにいってんの? 泳げないわよ。今日だって、ただの雨で、意味のない理由で泳げなくなって。そんなものなの。自分と関係ない理由で、やりたいこともできなくなんの
8  そう
女  そうよ


女  だから、仕方ないでしょ
*  どうなりたいんだ
女  は?
*  成績落ちて、雨降って、それがどうしたんだ?
女  やりたいことなんてやれないって言ってんの
*  やりたいことはなんだ
女  ……
*  俺は

女、目線を上げる
男が立ち上がっている

*魚だ

水に飛び込む音
1から8、手を広げ、水に浮いてるように寝転ぶ
女、机から身を乗り出し、水に浮いている男を見る

女  あんた、って、制服!
*  魚は泳ぐもんだ。働いてても、働いてなくても、勉強ができても、できなくても、晴れでも、雨でも。
女  ……
*  どうなりたいんだ

女、ゆっくり立ち上がる

女  わたしは、魚に、なりたい

女、机から飛び降りる
暗転
雨は降り続いている

初めのシーンと同じ、
雨の音、秒針の音
ダークブルーの明かり
深い海へ降りてゆくようなグラデーション

女  雨は降り止まない。この先ずっと、降り止まない。


全員  降り止まなくてもいい。降り止まなくても、なにもできなくても、私は魚だ。私は、泳ぐ。


2016/08/23

100のお題 2.笑顔が見たくて(戯曲)

2.笑顔が見たくて

作  井上大輔(足一)
 
★シーンの繋ぎ目は可能な限りシンプルに素早く体を変える。
★舞台には引き出し、小物入れ、カバンなど。ものが入った入れ物。中身は細かなもの、その中に狐の面を入れておく。
★小道具は最後の面以外使わない。全てマイムで行う。


暗転
バックサス
男の顔は見えない
シャツにネクタイ、スーツの下

男  ただ、ひとつ、これだけが叶えば、ぼくは死んでもいい。そう思ってたし、そう思ってる、いまも。だから、言葉をつむぐ、「笑ってください」。


戯曲を書くということ

(暑くて)(咳が出て)眠れないので、戯曲の話を書こうと思います。

戯曲は、半年とかそこら辺から書き始めたので、つまりぺーぺーです。でも、初めて書くときから、書けるっていう感覚はありました。
それは多分、初めて書いたときは西田美咲さん(劇団暇だけどステキ、劇的☆ジャンク堂所属の役者さんです)にあてて書いたから。誰か人がいるとすごく書きやすいからですね。

思えば、その戯曲「演劇の害と、効能について」から、「1+1」「すれ違う男」「ヒーロー」「アンドロイドのきみとぼく」と、全部出演者をイメージして書きました。あて書きではなくて、その人が発することを想定して書きました。というより、むしろそうでしか書けないような気もしてます。

と、言うのを変えようと思って、100のお題をやってみようと思いました。嘘です、変えようと思っていません。それはそれです。ですが、やってみようと思いました。多分、河原で綺麗な石を拾うくらいの感覚だったと思います、始めたときは。

あまり戯曲のことは書いてないですが、ここら辺で。

(暑いけど)(咳は出るけど)寝よう(明日も労働ですね)

2016/07/26

1年たった

前回の更新より、ほぼ1年がたちました。
1年前は、淡水と倉田の翠ちゃんで公演をしていたようです。そして、何の因果かそのほぼ1年後は赤子とダンスした夜でした。

昨日はかつおの遊び場ブッキング。1年前は淡水でがっつりダンスしてて、昨日は一人芝居をしておりました。
演劇の人かダンスの人かわからない、みたいな印象をもたれたりしますが、ぼく自身もわかってなかったりします。ただただ、好きなことをやってきただけの感覚です。

そして、演劇とダンスの境もわからなくなってます。演劇でも踊るしダンスでも話すし。結局、どちらも変わらないって思ってしまうから。

あえて、自分の中で分けるとするなら、
演劇は「言葉で表せない、言葉の裏の感情を出したい」
ダンスは「言葉で表せない、感情のゆらぎを身体で出したい」

と、いうわけで、あまり分かれていないのでありました。