2015年2月23日、芸術創造館で行われた「大大阪舞台博覧会」にて、
有馬九丁目ANNEX「エクスポート」に出演させていただきました。
有馬九丁目ANNEX 大大阪舞台博覧会参加作品
「エクスポート」
作・演出:岡崎マサフミ
出演 :ザキ有馬、井上大輔(足一/淡水) 、ふろむ
そんなわけで、役者として参加させて頂いたこの作品、振り返ってみようかと思います。
ここから先はがっつり内容についてかきます。内容的なネタばれはもちろんあります。
また、これは岡崎くんの作品のぼくの解釈ですので、本作には関係ございません。二次創作みたいなもんです。
ご了承を。
以下、物語です。
夕間(ゆうま/ザキ有馬)という男が、森の近くの広場で鍋で豚汁を作っている。
誰かを待っているような、あきらめているよう。
時期は冬。後は煮込むだけの豚汁を眺めながら、男はガスコンロの炎で暖をとっている。
その場面から「エクスポート」は始まる。
そこに堅(けん/井上大輔)という男が登場し、夕間が作っている豚汁に文句をつけていく。
「豚汁は味噌だろ」「普通は味噌」「なんか豚汁とかつゆものっていうより、鍋じゃね?」
大事なことを話そうと切り出す夕間を軽く無視しながら、堅は豚汁について話つづける。
そこに昴(たかぶー・すばる/ふろむ)が突然入ってくる。
頭に包帯を巻き、薄汚れた服装の子供。それがたかぶーだ。
堅はどうでもいいように、適当に対応し、夕間は距離を置いている。
たかぶーは、子供、というよりもあかちゃんが話す喃語のような、意味のわからない言葉を話す。
ただ、豚汁の匂いはわかるようで、出来上がった豚汁を、嬉しそうに食べる。
と、
「あーちゃん、しんだ!」とたかぶーは叫ぶ。
堅はもちろん気にしない。適当に返事をしながら、豚汁を食べる。夕間はたかぶーに何かを見ているのか、話に気が入らない。
堅がいった「あんまりこんなお兄さんたちと遊ぶんじゃないぞ、変なこと吹き込まれて洗脳されちまうから」という言葉から、
「せんのう」という言葉(リズム?)にひっかかったたかぶーが笑いながら広場から出て行き、また二人きりになる。
そして、夕間があの頃の言葉を話し出す。「おう山猿どもよく聞け」
それはあの頃の堅がいった言葉で、二人がこの場所で学生運動(革命)を起こしたときの言葉だった。
夕間は問いかける「どうだった?」堅が受ける「楽しかった」。
堅はあの頃を楽しかったと語る「あの学舎は世界最後の砦、俺たちは新世紀の革命軍、俺は地獄の軍団長」。
夕間「俺は名参謀だったか?」
堅「優秀すぎて、俺をやぐらから引きずりおろしさえしなければ」
革命軍のとき、夕間は堅をトップから落としていた。
夕間は、革命ごっこの熱があがっていき、傷つく人間がでることを恐れたのかもしれない。
その革命で、先輩は亡くなった。
夕間「……先輩は幸せだったか?」
堅「……俺が答えていい話じゃなくね?」
夕間「幸せだったのかなぁ」
堅「もし「はい」とかいう野郎がいたら俺はそいつのことを殴り殺してるね」
夕間「……」
二人とも、先輩のことを尊敬し、大切に思っていた。
でもその先輩がなくなったとき、夕間はもうやめようと思い、堅はもう引くことはできない、と思ったのかもしれない。
そして、堅は豚汁を食べて、夜の森へでていく。次の場所にいくために。
夕間「今度は味噌入れておく」
堅「食えるといいな」
夕間「……ああ」
振り返らず出て行く堅。そこにたかぶーが入ってくる。
空っぽのおわんを振りながら、堅がいなくなった空間に食料を求める。
たまらずたかぶーに豚汁をついだ夕間。自分のにも豚汁をつぎ、一気にかきこむ。
間があって、夕間がつぶやく。
「もっとうまいやり方はなかったのかって」
そこにたかぶーが、聞き取れるかわからないような、不安定な発音で応える。
「それでも私は、幸せだったよ」
音楽。
幕。
以上。少し長くなってしまいましたが、ぼくの中の「エクスポート」です。
ここに、つけたしていこうと思います。
夕間過去論と堅未来論。
彼らは革命軍の同志でした。革命の内容は明かされてません。そこは重要なわけじゃないかもしれません。
ただ、「死者(昴/先輩)がでる」レベルの革命ではあったと思われます。
そして、人として止めようとした人間(夕間)と犠牲があっても振り返らない人間(堅)のすれ違いの形だと思います。
堅は、死者がでて、自分も色んな人間に追われるようになった原因の革命を「楽しかった」と言い放ち、
夕間は「先輩は幸せだったのか」とつぶやく。
堅は革命を<自分>のこと、終わったこととしていて、
夕間は革命を<誰か>のこと、そして今も先輩と堅に対してうまくできなかったのかと後悔している。
堅は未来しか見てなく、過去は捨てている。ように見えるのだが、先輩に対しての想い(「俺のせいで幸せにできなかった)」は持ち続けている。
それを、素直に「何とかできなかったのか」と表現できる夕間に対して小さな憧れさえあるのかもしれない。
ただ進むことしかできない。と、堅はそう思い込んで、また違う場所へいく。
対して夕間は、先輩のことがずっと心にささっていて、動き出せない。
この山をでていくと言った、また広い世界をみなければいけないこともわかっている。だけど、幸せになれなかった先輩をみて、足を止めてしまう。
ずっと後悔の中で生きてきて、どこにも進めない夕間。
夕間をおいて、堅は出て行く。夕間にとって、先輩への想いや革命を共有した仲間がでていく。
ただただ、先輩への想いにつぶされそうな夕間を、一言で救ったのが、昴(たかぶー)であった。
「それでも私は、幸せだったよ」
夕間にしか聞こえない言葉でつぶやいたそれは、たかぶーの喃語を夕間が聞き間違えたのかもしれない。
そもそも、単語でしか普段話さないたかぶーが、その言葉をいう可能性なんてない。
だから、もしかしたら先輩(昴)が、なんらかの形で、「先へすすめ」と夕間を促したような気がした。
豚汁は革命になりえるか。
さまざまな野菜と、肉が入ったもの。味噌がないが、夕間は「このあたりの豚汁はこうなんだ」という。
もしかしたら、この豚汁は革命の象徴だったのでは、なんて話。
多くの人間(野菜、肉)が集まって、それが煮込まれる。そして、うまい豚汁になれば、革命は成功。
だけど、このあたりの豚汁(革命)は絶対に成功しない。
なぜなら、味噌が入ってないから。
豚汁には、なりえない。
最後に夕間が作った豚汁にも味噌は入ってない。それは過去の革命のことだろうか。
「白菜すげぇ美味いな」「ごぼうも、じゃがいももいい仕事してる」
そういって堅が美味いと褒める野菜たちは、革命のときの同志ではないか。堅・夕間の他に頼れる仲間がいて、革命(美味い豚汁)は成功するのかと、思ったのだが、
「これで味噌と七味が効いてれば」
の言葉で落とす。堅には味噌がなければ豚汁にならないことがわかってる。
そして、先ほどの野菜が革命軍の仲間だったとしたら、いまないもの、七味は先輩のことなのかもしれない。
革命は、味噌(この辺りには存在しない何か)と七味(もういない先輩)がないと、成功しない。
堅がどこへいったかはまた別のお話。
だけど、ここではない、というのだけは確かなことだった。
ぼくの中では、こんなお話になってました。
が、岡崎君にはうーんといわれてたので、あんまり、あれです。信じないほうがいいです。
ただ、堅が感じたものの多くが、ザキ有馬とふろむに引き出されて出来上がりました。
堅の「楽しかった」のセリフに対して夕間(ザキ有馬)が「楽しかった?」と悲しいような腹立たしいような言葉と表情で返してくれたから、
「パレードの先頭だったもんなぁ」と、堅は「(あぁ、すげぇ楽しかった)」と押し出すことができました。
たかぶー(ふろむ)が堅の話を聞いてるのか聞いてないのか、ふらふらしてくれたから、どんどんたかぶーに対して意識を払わなくなっていきました。
そのおかげでセリフがよくうわすべりました。ごめん>ふろむ。
な、感じで本当に二人が出したもんにのっかって、堅になってた感じでした。
裏話的のでは、芸創の近くのお外で、鍋つくって食ったのクソうまかったです。雨がふってて、寒くて、舞台上これだなって、思いました。
では。
岡崎マサフミ、ザキ有馬、ふろむ、助けていただいたスタッフのみなさま、そして、観て頂いた方々に感謝をこめて、これで閉じます。
堅は、別れの挨拶、してないんですよね。
なんでそれにのっとって。
「また、会えたらいいな」
井上大輔